第一話「ラーメンと温度計」
風来軒は、らーめん専門店として平成元年の12月にオープンしました。
それまで私は、サラリーマンであり全くのドシロートだったわけでした。なぜラーメン屋がやりたかったのかといいますと、ラーメンは安くて美味しくて栄養が有り、日本人にとっては国民食といっても過言ではないもの。この誰からも好まれる偉大な食べ物に、大きな大きな魅力を感じていたからです。
元々食べ物屋がやりたいという夢は持っておりましたが、「やるなら絶対ラーメン屋」と決めておりました。なぜなら、私自身ラーメンを心から愛しているからです。
その当時の私は究極の<ラーメンオタク>でした。色々な店に食べに行ってはストップウォッチで提供を計ったり、味・サービス・クリンネス・おやじ(おばさん)の個性・全体の完成度等を独自にチェック表で評価していました。(何の意味もないのですが、使命感を持っていたのです・・・)
ある時温度計を持ち込んでスープの温度を計っていて店を追い出されたことすらありました。そんな陰険でくらーい生活を行っていた時に、はっと気付いたのです。
「そうだ!自分んで理想のラーメン屋を創ろう!」
それからです。素人なりのラーメンの研究を始めたのは。