storySTORY

 

「風来軒ができるまで」

第一話「ラーメンと温度計」

風来軒は、らーめん専門店として平成元年の12月にオープンしました。
それまで私は、サラリーマンであり全くのドシロートだったわけでした。なぜラーメン屋がやりたかったのかといいますと、ラーメンは安くて美味しくて栄養が有り、日本人にとっては国民食といっても過言ではないもの。この誰からも好まれる偉大な食べ物に、大きな大きな魅力を感じていたからです。
元々食べ物屋がやりたいという夢は持っておりましたが、「やるなら絶対ラーメン屋」と決めておりました。なぜなら、私自身ラーメンを心から愛しているからです。
その当時の私は究極の<ラーメンオタク>でした。色々な店に食べに行ってはストップウォッチで提供を計ったり、味・サービス・クリンネス・おやじ(おばさん)の個性・全体の完成度等を独自にチェック表で評価していました。(何の意味もないのですが、使命感を持っていたのです・・・)
ある時温度計を持ち込んでスープの温度を計っていて店を追い出されたことすらありました。そんな陰険でくらーい生活を行っていた時に、はっと気付いたのです。
「そうだ!自分んで理想のラーメン屋を創ろう!」
それからです。素人なりのラーメンの研究を始めたのは。

第二話 「味泥棒」

まず、らーめんほんというラーメン本を読みあさり、レシピ通りに作ってみることから始めました。
しかしらーめん本のレシピ程いいかげんなものはありません。まともなものが出来た試しはありませんでした。それはそうでしょう。誰が自店の秘伝を人様に、しかも書籍などで教えるでしょうか?そこはやはり」素人考え、今思えば、私も青かったです・・・。
確かに基本の勉強にはなりました。しかし、結果的にはむなしかったです。

それではどうしたものか!考えたあげく、駄目モトで「ここぞ!」と思ったラーメン屋に直接秘伝を伝授してもらおう!という怖いもの知らずの戦略にうってでました。
が、これも失敗・・・。
軽いアルバイトや出前持ちを募集中の店でも、目をギロギロさせた鼻息の荒い、誰が見ても味を盗みに来たとしか考えられないような怪しい男を雇ってくれるところはありませんでした。
またまた青かった・・・。

第三話 「原料分析スパイ大作戦!!」

しかし、まだまだあきらめません。次は、「原料分析スパイ大作戦!!」と名をうって、あるお店のゴミを夜中に盗み出し(ゴミだから泥ボーではないもんね。)、その中味を分析するという非常にセコイ作戦を結構したのです。何と悲しい作戦を繰り返してたのでしょう。なんせ、ゴミ袋から出て来るものは、とん骨、とん骨、割り箸、とん骨、割り箸、とん骨・・・とそれしか出てこないのです。

「なんでとん骨だけで味が出すっとやー!!なぜー?ホワーイ!!」
ビニールシートを敷き詰めた2Kのアパートいっぱいに広げ、散乱しまくったゴミ骨の上に立ち尽くし、悔しさのあまり途方にくれた日々。つい20年前の事です。今となっては貴重な体験でもあります。

第四話 「努力は報われる」

その数ヶ月後、数々の失敗の結果の果てに偶然が重なって、たまたま今の風来軒のスープが完成しました。(どんな偶然かは恥ずかしくて言えません)。
でも、本気で取り組めば何とかなるものです。それは数ヶ月の期限付きで修行をさせてもらった、山口県のあるラーメン屋さんで実感しました。なんと、そこで見たレシピは私が試行錯誤してつかみ取ったやり方と同じだったのです。

第五話 「夢の中でもらーめん作り・・・」

自分の目指す味が決まり、いよいよお店を出すことになりました。しかし、資金がほとんど有りません。やっとの思い出10坪足らずの小さな小屋を見つけて、カウンターをはじめ内装も手作りで、何とか開業する運びとなりました。
しかししょせん素人の商売、一年間というものは全くの赤字続きでした。いっそのこと店を畳もうかとも考えましたが、そう言っておられませんでした。
そのころ3人目の子供が生まれようとしていましたし、自分が好きで始めた事ですから、頑張るしかありません。
営業時間を延長したり、味やサービスを見直ししたり、自分なりに研究しながら寝る間も惜しんで働き増田。いや、寝ている時でさえ仕事をしていたのかもしれません。その頃、私は夢遊病になった事があります。「あなた!何しているの!?」妻の声ではっと我に返ると、眠っているはずの私が台所に立っているのです。手には包丁を握って・・・。きっと仕込みをしているつもりだったのでしょう。
そんな事を繰り返しながら、ようやくこの風来軒というラーメン屋を軌道に乗せる事ができました。

終わりに 「これからもおいしいラーメンを求めて」

こんな形でスタートした店も今では20年目を迎えました。
試行錯誤を繰り返しながらの経営でしたが、店舗の数も増え、県外からわざわざ風来軒のラーメンを食べに来てくださるお客様もいらっしゃいます。
本当にありがたいことです。
これからも自分の理想とするおいしいラーメンを求めて、精進を重ねていきたいと思います。

※このストーリーは先代が風来軒20周年(2010年)に記したものとなり、文章内容と現在の社歴が相違する点がございます。